盗撮されました
シャボン玉は飛ばず屋根だけ飛んだ
扇風機が君を変える
ターミネーターの真実
『謎』ガチャで少年から大人に変わる
野犬の群れ
『序・破・急』の先
そうだよ10回でも100回でもだよ
子供の心
蟻地獄
今日も厳しい寒さだった。
ー葉山洋一さんかー
何度か顔を合わせた顧客だ。声も耳が憶えている。自宅に出向くのは初めてだった。
住所を入力して検索ボタンを押すとカーナビは一発でそこを指し示した。地図に表示されたルートは一本道。なんだ、楽勝じゃないかと僕はシートベルトを締めて車を発進させた。
ものの5分足らずで着いた。
しかしここで驚愕の事実を知る..地図上では高低差が表示されていないのだが…
ステファノの憂鬱
「だから、彼女候補とかそういうんじゃないって。え？街で携帯落としてさ、それを拾ってくれたのが、キャバ嬢だったってワケ」
八代亜紀雄は、携帯電話を肩と頬で挟みながら、ブロンズの蛇口から注ぎ出る水で手を洗った。
「そう...拾って貰ったんだから、お礼くらいはしなきゃならないだろう？一応はさ。でもバカな女でさ、会って三十分もしないうちに全く会話が噛み合わなくなってさ、トイレに一時避難しようとした…
メリークリスマス
静かにしろ！ジェスチャー聞こえねえ
玉城商店街の輝石 第5話
第5話 エリーゼのために
居間のテーブルで携帯電話がブルブルと震え、「エリーゼのために」の電子音が鳴り響いた。台所で料理をしていた美穂は、両手の水滴を払いながら、小走りに携帯電話に駆け寄った。
ディスプレイに表示された発信者を見ると誰もいないか周囲を確認してから通話ボタンを押した。
「もしもし、吉澤さん？どうも..あ、今、大丈夫ですよ揚げ物をしていただけで...」
（＊＊＊＊…
天地奏造
玉城商店街の輝石 第4話
第4話 Jeanne d'Arc
助かった...
ワタシ...生きてるのね。
美津子の、見様見真似で手作りしたターコイズブルーのワンピースは、いとも簡単に焦げ、いとも簡単に引き裂かれた。逆に、強い生地で尚且つ、しっかりと裁縫されていたものだとしたら、今頃、ワゴン車の腹下で「大根おろし」となっていたであろう。
不幸中の幸いと言うべきか。泣きっ面に蜂と言うべきか。
ズキズキと痛む上体を…
その親孝行を防犯カメラは知らない
ライチポケットシティ
この街には大きな湖がある。
ごく少数しか生息しないとされる野鳥が羽ばたき天然記念物として保護されている鮒が遊泳している。
その湖のほとりにある大型商業施設。
連日、買い物の親子連れや学生がごった返していて、その施設に併設されたカフェも今日は満席だ。
ドーナツが人気のカフェでは常連の夫婦が、仲良くティータイムを満喫していた。定年退職後、二人は、ほぼ毎日ここで過ごすの…
玉城商店街の輝石 第3話
第3話 Turquoise Blue
「ヤマグチ！おいヤマグチ！！」
シャッターに、迫り来る怒号が響いた。慌てふためいた美津子は咄嗟に血のスパナを捨てた。バシャンバシャンとシャッターを叩く音が聞こえ、力強くシャッターが巻き上げられた。
「うわ！アニキ、山口が！！」
「死んでるわよ！ノブ、シャッター早く閉めな！」
「矢野の野郎！事が全部終わってから始末しろって言ったのに、もう殺り…
玉城商店街の輝石 第2話
第2話 金色夜叉
歴史的瞬間の目撃者となった町内会長・山口は馬場美津子との15分に及ぶ悲鳴合戦の末、受け皿の中で右往左往している金色の玉を放心状態で凝視していた。
ガン ガン ガン ガン「夢じゃないのね？これでも？これでも？？これだけ痛いんだから夢じゃないんだなぁ？」馬場美津子は福引きマシーンのボディに何度も何度も己の額を打ち付けていた。「ねぇ、奥さん、馬場さん...ちょっと、あのぉ、お…
玉城商店街の輝石 第1話
第1話 終わりの始まり
「あと五分もすりゃ、正午なんだからもう福引きしたっていいでしょ？ほら、券だってあるんだからさぁ」
への字口に顔を歪ませた馬場美津子は、町内会長である山口に券を叩きつけた。
「奥さんねぇ、毎年恒例の玉城町内会の福引きは昼、十二時きっかりに沖津商店の店主の挨拶があって、そっから豪華景品の発表、それが全部終わってからでしょう？ガラガラは」
「兎にも角にも一番乗りで回…