目覚めてから
ずっとある男の顔が頭から離れなかった
男というのは
数ヶ月に一度来るか来ないかのお客さんで
失礼ながら
名前もその都度忘れてしまう
それくらいの関係だった
夕方、バーへ向かう途中
歩いている時までも
ずーっとその男が脳内にいる
まだ20代だろうか
そういえば
その彼と話をするようになったのって
いつからだろう...
たしか去年
美味しい海鮮が食べられる飯屋って知ってますか?
高級店とかじゃなくカジュアル系で
と、聞かれたのがきっかけだったはずだ
通勤時間にイヤホンから聞こえてくる学習の内容は
右から左へと上の空を行ったり来たりしていた
ちょうど点滅しはじめた
長い横断歩道の信号機をみて
僕は小走りで駆け抜けた
その間もひっきりなしに
モジャモジャパーマの彼は
僕に語りかけてくるのだった
男の話に耳を傾けているうちに
バーに着いてしまった
その日は
土曜のランチ限定販売のキラキラアキラカレーを
作らなければならなかった
(大好評)
一心不乱に玉ねぎを刻んで
大量の手羽元を圧力鍋に放り込み
加熱ボタンを押して立ち上がると
モジャモジャの彼が
目の前にいた...
咄嗟にでた僕の言葉
『なんでわかった?』
「いやぁはあっっ??なんのことですか?」
そりゃそうだ
入店するや否や
なんでわかった?なんて言われて
なんと答えるのが正しいのかなぞ
知る由もない
いや、実は
これこれこういう訳で──
ことの顛末を話すと
彼が一言
「じゃあ、僕は今日
アキラさんに呼ばれてきたんですね」
(いやぁ、呼んではいないんだよなぁ)
そうだね..そういうことになるね
消去法でハハっ
口がほとばしっていた
「しょうきょほう??」
いやいや、それはさておき
実はこの現象
今年で7回目くらいでさ
頻繁に起こるんだよ
それも
滅多に店に来ない人とか
連絡先はおろか
名前も聞いたこと無い人とかも多いんだ
なぜか彼は
『神に選ばれし男』然とした
誇らしげな笑みを浮かべていた
これを悪用したら
インチキ臭い会話の切り口に使えるのか!
なんて僕は180度
モジャモジャの彼とは別の角度で関心していた
煙草から戻ってきた彼が
「また虫の知らせがあったら呼ばれて来ます」
といって店を出ていった
なんだかなぁ...
ほんとうのところ登場人物1人たりとも
なにの知らせもあったわけではないのだが
この現象は最近あまりに多くて
それもちょっと脳科学の勉強に
のめり込み過ぎて己自身がスピっている時に
よく起こるのだから
これはもしや
知識と原理を学んで
能力として鍛えれば
何かになるんじゃないだろうか
皆さんもこんなことってあるでしょう?
!夢( ͡° ͜ʖ ͡°)で!
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